原文:ESPN
私たちがその優勝を見届けたマイアミ・ヒートは歴史上、もっともシュート力の優れたチームかもしれない。
もちろん、12本ものスリーポイントが決まった第7戦のあとなので、少し便乗しているようにも聞こえるだろう。しかし、彼らがサンアントニオ・スパーズを相手にそれを成し遂げても、とくに驚くべきことではない。
なぜか?
それは、ヒートがNBA史上、レギュラーシーズンでもっとも効率的にシュートを決めたチームであるからだ。そして、このチームが歴史に痕跡を残すなら、過去の遺産を一掃するはずである。
実際、27連勝という歴史的な記録、または、ファイナルで負け知らずだったスパーズに初めて土をつけたことはそれに値するだろう。
では、シュートはどうだったのだろうか?
これほどまでのものは過去に見たことがない。
きちんと整理してみよう。ヒートは49.6%のシュート成功率を記録し、シーズンを通して約半数のシュートを決めており、それだけでも偉業であろう。しかし、3ptシュートへの依存度をふまえると、その数字だけでは彼らのシュート能力を正しく評価できない。
ヒートがいかに優れたチームであるのか説明するためには、事実上のシュート成功率(Effective Field Goal Percentage、3ptシュートの成功本数を1.5倍で計算)を確認する必要がある。ヒートのシュート成功率は49.6%だったが、3ptシュートを正当に評価すると、事実上のそれは55.2%となる。
そして、55.2%という事実上のシュート成功率は、NBA史上1位の記録だ。
このデータが示すもっとも興味深いことはその手段であり、サンアントニオ・スパーズの戦略を真似ていることだ。具体的に言えば、すべてはコーナーからの3ptシュートにある。
オクラホマシティ・サンダーを破って優勝したあと、Shane Battier、Mike Miller、Mario Chalmers、そしてオールスターの3ptチャンピオンである James Jones がすでにいたにも関わらず、ヒートは豪華な3ptシューター陣に満足しなかった。ほとんどの人が手薄なフロントコートの補強を指摘したが、チーム社長の Pat Riley は、フリーエージェントだった Ray Allen に目をつけ、ボストン・セルティックスから奪い取った。
その理由とは?Allen の優れたシュート力、とくにコーナーからのシュートは、ヒートのオフェンスを歴史的なレベルにまで高める可能性があったからだ。
数年前、スパーズの上層部は、コーナースリーが相手のディフェンスを拡散させることを実現して見せた。また、コーナースリーはほかの3ptシュートよりも距離が短いため、もっとも有益なシュートであることも示した。この10年間、スパーズは常に3ptスペシャリストをコーナーで待機させ、3人のスター選手に十分なスペースを与えている。
ヒートがスパーズの戦略を倍増させ、NBA史上もっとも優れたコーナースリーのスキルをもつ Allen を引き抜いたことは決して偶然ではない。
2013年NBAファイナルについて、ひとつだけ思い出すとしたら、それは何だろうか。そう、コーナースリーだ。第6戦の残り時間5.2秒、右コーナーから Allen が放ったシュートだ。
あれが、2度のターンオーバーを犯した LeBron James を、殺到するであろう世界中の批判から救うことになった。Allen とそのチームメイトが、スパーズの優勝に備えた黄色のテープを目撃した直後、あのコーナースリーによって、ほぼ死にかけていたヒートが息を吹き返した。
このシリーズでのヒートはコーナーから29本の3ptシュートを決め、スパーズのお株を奪った。これは、スパーズが決めた14本よりも2倍以上多い成功数であり、NBAファイナルでの最多記録になる。そして、気付いている人もいるかもしれないが、サンアントニオ・スパーズが2004-05年シーズンに記録した24本を打ち破っている。最終的にヒートは51.8%の確率でコーナーからのシュートを決め、それに比べてスパーズは37.5%に止まった。すごいだろ?
もちろん、ヒートのシュート戦略はコーナースリーだけでない。James のシュート成功率はキャリアハイの56.5%であり、3pt成功率もキャリアで初めて40%を超えた。Dwyane Wade と Chris Bosh もまた、キャリアハイのシュート成功率を記録している。
「二重の脅威になりたかった。」と、ヒートのヘッドコーチである Erik Spoelstra は第7戦のあとで自身のシーズンを振り返った。「私たちがやりたかったことは第一に攻撃であり、そのための戦略を選手たちに提供することだった。このアプローチは共生関係を生むはずであり、一年を通して上手く機能した。」
ヒートは1月、お払い箱になっていた Chris Andersen も拾い上げた。プレイオフで50本以上のシュートを打った選手は通算3,851人になるが、Andersen よりも高いシュート成功率を記録した選手はほかにいない。彼の80.7%という数字は、1986-87年シーズンに Antoine Carr が残し、それまでのベスト記録だった69.6%を大きく上回っている。
しかし、第7戦でもっとも記憶に残るシュートを決めたのは Battier だ。不調だった彼は、インディアナとの第7戦をベンチで過ごしたが、あの試合では6本の3ptシュートを沈めた。
「バスケットボールの神様を信じているよ。」と、Battier はファイナルの表彰台で語った。「神が大きなチャンスを与えてくれたみたいだ。」
ヒートはスパーズを破ったが、戦略でも勝っている。第7戦でのヒートは8本中4本のコーナースリーを決め、そのうち2本がファイナルMVPの James、残り2本が Battier によるものだ。
スパーズはフロアを広く使い、コーナーから攻めるための戦略を組み立てた。しかし、第7戦だけでなく、シーズンを通して私たちが観たように、それを完璧にこなしたのはヒートだった。
私たちがその優勝を見届けたマイアミ・ヒートは歴史上、もっともシュート力の優れたチームかもしれない。
もちろん、12本ものスリーポイントが決まった第7戦のあとなので、少し便乗しているようにも聞こえるだろう。しかし、彼らがサンアントニオ・スパーズを相手にそれを成し遂げても、とくに驚くべきことではない。
なぜか?
それは、ヒートがNBA史上、レギュラーシーズンでもっとも効率的にシュートを決めたチームであるからだ。そして、このチームが歴史に痕跡を残すなら、過去の遺産を一掃するはずである。
実際、27連勝という歴史的な記録、または、ファイナルで負け知らずだったスパーズに初めて土をつけたことはそれに値するだろう。
では、シュートはどうだったのだろうか?
これほどまでのものは過去に見たことがない。
きちんと整理してみよう。ヒートは49.6%のシュート成功率を記録し、シーズンを通して約半数のシュートを決めており、それだけでも偉業であろう。しかし、3ptシュートへの依存度をふまえると、その数字だけでは彼らのシュート能力を正しく評価できない。
ヒートがいかに優れたチームであるのか説明するためには、事実上のシュート成功率(Effective Field Goal Percentage、3ptシュートの成功本数を1.5倍で計算)を確認する必要がある。ヒートのシュート成功率は49.6%だったが、3ptシュートを正当に評価すると、事実上のそれは55.2%となる。
そして、55.2%という事実上のシュート成功率は、NBA史上1位の記録だ。
このデータが示すもっとも興味深いことはその手段であり、サンアントニオ・スパーズの戦略を真似ていることだ。具体的に言えば、すべてはコーナーからの3ptシュートにある。
オクラホマシティ・サンダーを破って優勝したあと、Shane Battier、Mike Miller、Mario Chalmers、そしてオールスターの3ptチャンピオンである James Jones がすでにいたにも関わらず、ヒートは豪華な3ptシューター陣に満足しなかった。ほとんどの人が手薄なフロントコートの補強を指摘したが、チーム社長の Pat Riley は、フリーエージェントだった Ray Allen に目をつけ、ボストン・セルティックスから奪い取った。
その理由とは?Allen の優れたシュート力、とくにコーナーからのシュートは、ヒートのオフェンスを歴史的なレベルにまで高める可能性があったからだ。
数年前、スパーズの上層部は、コーナースリーが相手のディフェンスを拡散させることを実現して見せた。また、コーナースリーはほかの3ptシュートよりも距離が短いため、もっとも有益なシュートであることも示した。この10年間、スパーズは常に3ptスペシャリストをコーナーで待機させ、3人のスター選手に十分なスペースを与えている。
ヒートがスパーズの戦略を倍増させ、NBA史上もっとも優れたコーナースリーのスキルをもつ Allen を引き抜いたことは決して偶然ではない。
2013年NBAファイナルについて、ひとつだけ思い出すとしたら、それは何だろうか。そう、コーナースリーだ。第6戦の残り時間5.2秒、右コーナーから Allen が放ったシュートだ。
あれが、2度のターンオーバーを犯した LeBron James を、殺到するであろう世界中の批判から救うことになった。Allen とそのチームメイトが、スパーズの優勝に備えた黄色のテープを目撃した直後、あのコーナースリーによって、ほぼ死にかけていたヒートが息を吹き返した。
このシリーズでのヒートはコーナーから29本の3ptシュートを決め、スパーズのお株を奪った。これは、スパーズが決めた14本よりも2倍以上多い成功数であり、NBAファイナルでの最多記録になる。そして、気付いている人もいるかもしれないが、サンアントニオ・スパーズが2004-05年シーズンに記録した24本を打ち破っている。最終的にヒートは51.8%の確率でコーナーからのシュートを決め、それに比べてスパーズは37.5%に止まった。すごいだろ?
もちろん、ヒートのシュート戦略はコーナースリーだけでない。James のシュート成功率はキャリアハイの56.5%であり、3pt成功率もキャリアで初めて40%を超えた。Dwyane Wade と Chris Bosh もまた、キャリアハイのシュート成功率を記録している。
「二重の脅威になりたかった。」と、ヒートのヘッドコーチである Erik Spoelstra は第7戦のあとで自身のシーズンを振り返った。「私たちがやりたかったことは第一に攻撃であり、そのための戦略を選手たちに提供することだった。このアプローチは共生関係を生むはずであり、一年を通して上手く機能した。」
ヒートは1月、お払い箱になっていた Chris Andersen も拾い上げた。プレイオフで50本以上のシュートを打った選手は通算3,851人になるが、Andersen よりも高いシュート成功率を記録した選手はほかにいない。彼の80.7%という数字は、1986-87年シーズンに Antoine Carr が残し、それまでのベスト記録だった69.6%を大きく上回っている。
しかし、第7戦でもっとも記憶に残るシュートを決めたのは Battier だ。不調だった彼は、インディアナとの第7戦をベンチで過ごしたが、あの試合では6本の3ptシュートを沈めた。
「バスケットボールの神様を信じているよ。」と、Battier はファイナルの表彰台で語った。「神が大きなチャンスを与えてくれたみたいだ。」
ヒートはスパーズを破ったが、戦略でも勝っている。第7戦でのヒートは8本中4本のコーナースリーを決め、そのうち2本がファイナルMVPの James、残り2本が Battier によるものだ。
スパーズはフロアを広く使い、コーナーから攻めるための戦略を組み立てた。しかし、第7戦だけでなく、シーズンを通して私たちが観たように、それを完璧にこなしたのはヒートだった。
Tips to translate
- put ~ in perspective = ~を正しい角度で見直す、~をきちんと整理する
- a avalanche of criticism = 殺到する批判
- give someone a taste of its own medicine = ~のお株を奪う(相手と同じ手を使って報復する)
- How about them apples? = すごいだろ?(How do you like them apples?)
- scrap heap = お払い箱の
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