Why my MVP vote went to Carmelo Anthony

原文:Boston Globe


数週間前、筆者がNBAのMVP投票を終えたとき、少数派となることはわかっていた。もっとも優れた選手は LeBron James であり、4度目のMVPを受賞する可能性がとても高いこともわかっていた。

ニューヨーク・ニックスでの重要度をふまえ、筆者は Carmelo Anthony に投票した。ニックスへの関心がこの10年間なかった人なら、候補に挙げることもないだろう。

投票結果が発表された日曜日の午後、LeBron James へ1位票を投じなかったのは121人の中で筆者だけだと知り、面食らった。Anthony や Kevin Durant、Chris Paul のほか、おそらく Kobe Bryant でさえも、1位票の1つや2つは獲得するだろうと本当に信じていたからだ。

まず第一に、投票を提出した4月中旬の時点では、筆者が LeBron を1位票から外す唯一の人間になるとは考えもしなかった。これは Wilson 先生の授業ではなく、仲間のスポーツ記者たちにアメリカ史の問題を聞いて回ることもしない。記者たちが誰に投票したのかなんてわからないのだから、LeBron の陰謀があったわけでもない。

第二に、これはベストな選手を決めるための賞なのではなく、もっとも価値のある選手を決める賞であり、今シーズンの Anthony が成し遂げたことはそれに値すると思ったのだ。彼は、ニックスを19年ぶりのディビジョン制覇へ導いた。

19年前とは大昔のことだ。

Anthony はリーグ1位の平均得点を残し、年寄りチームであるニックスをイースタン・カンファレンス2位へと牽引した。Amar'e Stoudemire が膝のケガでシーズンのほとんどを、Raymond Felton が6週間を欠場し、Tyson Chandler も慢性的なケガに悩まされる中、Anthony と J.R. Smithは、1990年代にドラフトされた多くのベテランたちと共に54勝をあげ、マイアミ・ヒートを3度も破っている。

LeBron は毎年のようにMVPを獲得する可能性がある。それだけの選手だ。Michael Jordan と肩を並べる領域に達しているだろう。Jordan は5度のMVPに輝いているが、10回でもよかったくらいだ。1992-93年シーズン、Jordan は32.6得点、6.7リバウンド、5.5アシスト、2.8スティール、49.5%のシュート成功率を記録した。

しかし、MVPは Charles Barkley が獲得している。

だからこそ筆者の票は、圧倒的な LeBron よりも Anthony へと傾いた。もしニックスから Anthony を奪い取ったら、ニックスは下位チームへと転落する。James は、二人のオールスター選手、NBA歴代1位の成功数を誇るスリーポイントシューター、ディフェンスの達人、恐れ知らずなポイントガードたちとプレイしている。ヒートは恵まれているのだ。

LeBron がいないヒートでも、5位か6位のシードを獲得するだろう。彼は現世代で最高の選手であり、アドニス並みの身体能力を備えた多才なスーパースターである。しかし筆者は、所属チームを新たな高みへ上昇させた選手を称えるために選んだ。

ニックスは昨シーズン、プレイオフ1回戦でヒートに叩き潰され、一昨年はセルティックスを相手に4連敗した。Anthony は安定したプレイをし続けている。健康ならオールスター級選手である Stoudemire はここ数年、膝のケガに苦しんでいる。Chandler はディフェンシブなセンターであり、Jason Kidd や Marcus Camby、Rasheed Wallace は歳をとりすぎている。つまり、得点力は Anthony と、気まぐれな Smith にかかっているのだ。

120の人が1位票を LeBron に投じたと知った筆者がそれを不本意に感じているとする認識は、正確ではない。筆者は、長年にわたってNBAを取材してきた。1996-97年シーズンのMVPレースで、Jordan が Karl Malone に負けたことも見ている。選手たちはシーズン中に自身の試合を高めているだけであることもわかっている。Anthony は今シーズンのニックスにとって、もっとも価値のある選手であったと思うものの、リーグ最高の選手であるとは思わない。

筆者が投票してから3週間が経った今、Anthony がプレイオフで不調であるという事実について言い争っても意味はない。Anthony は4月2日のマイアミ戦で50得点をあげ、ニックスがディビジョン優勝と2位シードを決めた4月、1試合平均36.9得点を記録している。

LeBron は見事なシーズンを過ごした。7度のMVPを獲得する最初の選手になるだろう。しかし筆者は、今シーズンの Anthony がそれ以上のものをチームにもたらしたと感じた。明らかに期待されていない投票だけれども、そう投票する権利は筆者にあった。

LeBron が満場一致で受賞すべきだったとする人の意見もよく理解できるが、ニックスを再び上昇させるのは容易なことではなく、今シーズンの Anthony は賞賛に値すると思っている。



Tips to translate

  • flabbergasted = 面食らった、あぜんとした
  • to the point (where) = ~のレベルに達した
  • go against the grain = 気に入らない、不本意である
  • Wednesday(曜日) morning quarterbacking = 終わったことについて言い争うこと、起こった後で正しいとわかること

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