シカゴ・ブルズが Jimmy Butler に対し、Maximum Qualifying Offer という聞き慣れない契約を提示した。そこで、通常の Qualifying Offer と何が違うのか、Butler に与えられた選択肢とは何か、サラリーキャップ制度の理解を深めるためにも整理したい。
The Chicago Bulls have given Jimmy Butler both a qualifying offer AND a max qualifying offer @BBallInsiders— Eric Pincus (@EricPincus) June 29, 2015
Qualifying Offer を提示された選手は、いわゆる「制限つきFA」という身分に変わる。制限つきFAとなった選手は2年以上の契約を条件に他チームと交渉できるが、元の所属チームにはそれと同じ契約で当該選手を引き止める権利が与えられるため、それが「制限」というわけだ。また、Qualifying Offer 自体が定額(ドラフト指名順位により変動)の1年契約であり、それを受け入れることで、1年後に「無制限FA」となる道も選べる。
一方の Maximum Qualifying Offer はそれ自体が「Maximum(制度で定められた最高額)」な5年間契約であり、他チームと交渉することなく、現時点で最高な契約が確約された状況だ。もちろん、他チームと交渉することも許されるが、その契約は3年以上でなければならず、元の所属チームは同様に引き止める権利をもつ。なお、Maximum Qualifying Offer は Qualifying Offer とセットで提示されるため、定額の1年契約も選択肢として残る。
そもそもブルズと Butler は制限つきFAを回避しつつ、二者間で再契約の内容を煮詰めることも可能。そうならなかったことには理由がある。2016-17年シーズン以降、契約時の最高額が大幅に上昇する見込みであり、そのタイミングに合わせて長期契約を結んだほうがお得なのだ。チーム側の視点で見ると、今夏中に長期契約を成立させておけば割安。これは、Butler がMAX契約を前提とする選手だから。
ということで、Butler に与えられた選択肢をまとめよう。なお、ブルズが最高額を提示していることから推測し、少なくとも来季、Butler が他チームでプレイする可能性はゼロとする。また、Butler が希望しているであろう、1年または2年の短期高額契約は拒否されたと読む。
- 5年間のMAX契約である Maximum Qualifying Offer を受け入れる
- 1年間の定額契約(Butler は440万ドル)を選び、1年後の無制限状態で超大型契約を結ぶ
- 他チームが提示した3年または4年の準MAX契約でブルズに留まる
- ブルズと再交渉する
「1番」の選択肢が言うまでもなく安心安全である一方、1年後のことが保証されない「2番」は不安。そして、「3番」が意外に悪くない。というのも、NBAキャリアが7年以上の選手は契約時の最高額が上昇するのだ。キャリア4年目を終えた Bulter にとっての3年契約はキャリア7年を確定させる。ブルズとの直接交渉で3年の準MAX契約を目指してもよいかもしれない。
ブログ: まもなくFA解禁、サラリーキャップ関連の解説記事を掲載しました。Maximum Qualifying Offerという特殊な状況のJimmy Butlerを例に挙げています。 http://t.co/j3R2QfqoyB pic.twitter.com/HxUcpHf8pC— Hikki Sicks (@hikki76) July 1, 2015
編集後記: 制限つきFAとなる条件は2種類。ドラフト1巡目指名の4年契約を終えた選手と、その他のルートでNBAに加入したキャリア3年以下の選手。Kawhiが前者、Draymondは後者。 http://t.co/j3R2QfqoyB pic.twitter.com/6PyfOvXOws— Hikki Sicks (@hikki76) July 1, 2015
編集後記: Jimmy Butlerは最終的に、4年間のMAX契約と5年目のプレイヤーオプション(契約を破棄する権利)でCHIと合意。再交渉した結果、CHI側が少し譲歩したと言えそう。 http://t.co/j3R2QfqoyB pic.twitter.com/SZmVklRpH9— Hikki Sicks (@hikki76) July 2, 2015
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