How Rebounding Wins Championships


リバウンドを制するものは試合を制す、漫画「SLAM DUNK」にも登場するバスケットボールの格言だ。実際、デトロイト・ピストンズの中心選手となった Andre Drummond がオフェンスリバウンドを拾いまくり、その支配力の大きさを改めて示している。ところが、二連覇を達成したときのマイアミ・ヒートは100ポゼッションあたりのリバウンド数がリーグワースト2位であり、必ずしもそうではないことも実証済み。



そこで、リバウンドの重要性を過去のデータから分析してみたい。私が注目したのは、リバウンドの本数よりも、リバウンドを確保した選手の役割だ。たとえば、2012-13年ヒートのリバウンドリーダーは、610本を記録した LeBron James である。リバウンド数チーム2位の Chris Bosh より100本以上も多いが、インサイドを制圧した印象は薄い。

LeBron の特長と言えば、リバウンドだけでなく得点とアシストも両立する万能性。キャリア6年目終了時までに8,500得点、2,500アシストを記録したNBA選手のリバウンド数について調べてみると、上位にはLeBron のほか、Larry Bird、Oscar Robertson、Clyde Drexler、Michael Jordan、Dwyane Wade、Isiah Thomas など、そうそうたるメンバーが名を連ねる。興味深いのは Stephen Curry も歴代トップ15の万能選手であり、彼らの優勝率・連覇率が高いこと。

キャリア6年目終了時までに8,500得点、2,500アシスト、1,500リバウンドを記録したNBA選手
参考データ: Basketball-Reference.com(2016年1月1日時点)

3PTシュートやボールハンドリングが脚光を浴びる Curry は、2015年プレイオフで記録した平均5.0本が象徴するように、あのサイズでもリバウンドに積極的だ。昨季から今季にかけて急成長を遂げた Draymond Green もリバウンドとアシストを高次元に両立する。ディフェンスリバウンドを確保したあとにそのまま攻める能力が、ゴールデンステイト・ウォリアーズのハイペースオフェンスを成功させる秘訣だろう。



さらに調べると、キャリア通算で5,000リバウンドと5,000アシストを達成したNBA選手は Jerry West、John Havlicek、Kareem Abdul-Jabbar、Magic Johnson、Scottie Pippen、Gary Payton、Jason Kidd、Kevin Garnett、Kobe Bryant など、またしても優勝率が高い。つまり、オフェンス能力に長ける選手が自身でリバウンドを狙えば、有利な状況へと直結するのかもしれない。

一方、キャリア12年目終了時までに10,000得点と5,000アシストを記録するもリバウンドが4,000本未満だった歴代NBA選手は John Stockton と Steve Nash を筆頭に、Allen Iverson、Mark Jackson、Stephon Marbury など、その優れたオフェンス能力が優勝につながらない例も目立つ。現役ではキャリア11年目で優勝未経験の Chris Paul や Deron Williams も4,000リバウンドに届かないだろう。言い換えれば、チームの1番手や2番手として優勝を目指す上で最後の決めてとなるスキルが今回のテーマ、リバウンドだとも考えられる。もちろん、必須ではない。

キャリア通算で5,000アシストと5,000リバウンドを達成したNBA選手
参照データ: Basketball-Reference.com(2016年1月1日時点)

これらの傾向から、優勝に近い現役NBA選手を予想してみよう。前述のリストにも名前が挙がり、2014-15年シーズンにトリプルダブルを連発した Russell Westbrook は昨年1月1日から12月31日までの1年間で、Oscar Robertson 以来の記録となるNBA史上二人目の2,200得点、700アシスト、600リバウンドを達成。万能性においては Curry どころか LeBron をも超える勢いであり、優勝未経験者の中ではそれにもっとも近く、リバウンドを制する男なのではないだろうか。



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