Bird Rights をはじめとするNBAサラリーキャップの例外条項を深く理解するためには、Cap Hold と呼ばれるルールも同時に知る必要がある。Cap Hold とは、契約が終了した所属選手との交渉権を兼ねた予約金のようなもの。
たとえば、LeBron James との再契約を保留しているクリーブランド・キャバリアーズの確定済みサラリーは7月22日現在で約8,300万ドル。今季のサラリーキャップは約9,400万ドルなので、まだ1,100万ドルの空きがあるように思える。しかし、実際は LeBron の予約金、Cap Hold も加算しなければならない。その予約金は前季のサラリー額で決まり、LeBron の場合はMAX相当の約3,100万ドル。つまり、キャバリアーズはキャップルームを使い果たした状態というわけだ。
Cap Hold が存在する理由を考えてみよう。もしキャバリアーズが1,100万ドルのキャップルームでFA選手を獲得したあとに、Bird Rights を使って LeBron と再契約できたなら。1年契約を繰り返すことでFA選手の獲得が容易になってしまい、サラリーキャップの意味をなさないことがわかる。
所属のFA選手が他チームへ移籍、もしくはその Bird Rights を移籍前に破棄すれば、予約された Cap Hold は消滅。また、Cap Hold よりも低い額で再契約すればチームサラリーに計上される額も下がる。ここで確認しておきたいのは LeBron が1年の高額契約(+1年オプション)を結ぶと、来夏も彼の Cap Hold が影響し、Kevin Love、Kyrie Irving、Tristan Thompson の4年契約を抱えるキャバリアーズの補強は引き続き難しいということ。
一方、この仕組みを活用した究極の奇策が、1年限定のミニマム契約。今夏、Early Bird Exception が適用される LeBron は1年契約を選んだ場合、どのみちMAX額をもらえない。そこでミニマム契約なら来夏の Cap Hold も最小化、約2,000万ドルのキャップルームを生み出せる。FA選手を獲得した後、LeBron とは Larry Bird Exception を使ってMAX額で再契約すればよいのだ。複数年に渡って少しずつ減額するよりも、1年だけの極端な減額が有効な場合もある。
ブログ: NBAサラリーキャップの例外条項である「Bird Rights」を理解する上で重要な「Cap Hold」の解説記事を掲載。CLEの現状と未来を例に挙げ、奇策も紹介。https://t.co/8j9qqgcSe7 pic.twitter.com/Muw9j65DjQ— Hikki Sicks (@hikki76) July 23, 2016
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