B.LEAGUE needs more fast breaks


Bリーグの2017-18年開幕戦、栃木ブレックスとシーホース三河の試合をテレビで観戦中、レポーターの佐々木クリス氏が両チームの特徴として、速攻時の平均得点を紹介していた。そのときの正確な数字は覚えていないが、昨季の栃木ブレックスは1試合平均5点台で速攻が得意という話。

正直、自分の耳を疑った。NBAの数字を漁っているスタッツマニアの私からすると、恐ろしく低い数字だ。シュート2本分の1試合5得点で速攻が得意とは、いったい何の冗談か。



過去15年のNBAを振り返ってみよう。次の表はNBA全体の平均オフェンス回数(48分換算)、速攻時の平均得点とチーム単位の最大および最小値(40分換算)、相手ターンオーバーからの得点。また、2016-17年Bリーグの数字もバスナビDBから。


2016-17年シーズンのBリーグで速攻時に最多得点を記録したチームは千葉ジェッツで、1試合平均6.2得点とのこと。Bリーグの試合時間と同じ40分に換算したNBAの数字と比較すれば、その少なさは一目瞭然だ。得意と言うなら、最低でも平均10得点、理想で12-15得点は必要だろう。

速攻はいわゆるラン&ガンのような速い展開を想像させるが、それだけでは効果的に増えない。注目すべきは相手からターンオーバーを奪ったあとの得点であり、Bリーグではそれも異様に少ないのだ。つまり、相手ミスからの有利な状況で速い展開に持ち込めていない可能性が大。ちなみに、ターンオーバー数はNBAとBリーグで大差ない。


バスケットボールの試合を一言で形容するときに、NBAは『モメンタム(勢い)の奪い合い』『連続得点の応酬』と言われる。そのモメンタムがNBA特有のスピード感やダイナミックなプレイ、そして大逆転劇を生み出す。BリーグのバスケットボールがNBAと比べて地味に感じるのは、こうした試合の中身も関係しているはずだ。

言い換えるなら、NBAのチームや選手は緩急のつけ方、勝負どころの見極めに長けているのだろう。逆に、Bリーグのバスケットボールはハーフコートオフェンスなどのチーム戦術に忠実なものの、個人の判断力に欠けて単調といった印象を受ける。日本の男子バスケットボールが国際大会で通用しない理由もなんとなく垣間見えるのではないだろうか。


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